睡眠のリズムがくずれ、徐々に会社に行かれなくなり、そして「うつ病」と診断され休職になる。
休職は決まったものの、どんな流れで復職へ向かっていくのかよくわからない。休んでいるだけでいいのだろうか?という不安。気づけば復職日程が迫っていた。でも、復職できるのだろうか、すぐにフルタイムで働くことができるのだろうか、そんな不安を抱える方が多いのではないでしょうか。
休職から復職までの期間には、それぞれの段階で必要なサポートがあります。休職期間の過ごし方、病気にいたった問題からの癒し、会社側との交渉、復職にあたっての考え方など。
また「うつ病」は、「いままでの働き方ではきついです」「いままでの人との関わり方ではつらいです」という、身体からのメッセージ。休職期間は、治療と同時に「いままで」のやり方を見直す大切な時期です。
回復して復職するだけではなく、「病気を繰り返さない」ということに目標にしていきましょう。
復職段階でのカウンセリングの必要性
復職日程が近づいてくると、会社の人事担当者、産業医との面談が行われます。この面談において、心理的な負担を感じる場合があるようです。
自分の状態や要望が上手く伝えられない。会社側の意向がよく理解できない。主治医と産業医の判断が異なる。etc
そして、落ち込んでしまったり、否定的な感情を抱いてしまうことも少なくありません。そういった感情への対応や、自分の状態や要望を会社側に思った通りに伝えられるような具体的なサポートが必要です。
厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰可否の判断において以下の項目を挙げています。
- (ア)労働者の職場復帰に対する意思の確認
- (イ)産業医等による主治医からの意見収集
- (ウ)労働者の状態等の評価
- (エ)職場環境などの評価
- (オ)その他
すべての会社がこの手引き通りに進めているわけではなりませんが、(ウ)労働者の状態等の評価において、認知行動療法を受けることをすすめ、それによる変化・効果を求める企業もあるようです。
休職~復職までの流れ
休職に入ると、始めの頃は「休んでいていいのか」「仕事は大丈夫か」「早く治さないと」などの焦りや不安を感じるようになります。そんな焦りや不安を軽減していきましょう。
多くの方が長い期間のストレス下にあって、そして「仕事でミスをした」「上司に怒鳴られた」「知人の死」「失恋」などの出来事をきっかけに発症したのではないでしょうか。まずは、そのきっかけとなった出来事に対する気持ちや考え方を整理します。また、休日の過ごし方について話し合います。
疲労感や落ち込みから少し回復してきたら、これまでの自分の考え方を振り返り、ストレスを抱え込みやすい部分がどこなのかを探していきます。これは復職したときのストレス耐性を高めるための対策です。認知療法などを用います。
第三段階で気づいた自分の問題と現在の状態を把握し、職場への要望をまとめましょう。自己の意見を主張することが苦手である場合には、リハーサルなどを行います。また、会社での話合い内容が十分であったか、会社側の要望が十分に理解できたかをふり返り、不足があった場合の対策を考えましょう。
実際の会社生活の中で、認知療法で身につけた考え方を行動に移していきましょう。
復職当初は、「自分が治った」という気持ちが高まりますが、「体力の低下」「定時で帰ることの後ろめたさ」「思考力の低下」などで、焦りや不安を感じる時期でもあります。この時期を乗り越えることが、復職において大切な時期といえるでしょう。
また、周囲も「治った」と思い込み、気が付いたら病気前と同じくらい残業をしてしまい、また調子を崩してしまった・・・なんてことも、しばしばあることです。周囲の要望に焦ることなく、自分のリズムで病気を治していきましょう。
復職にあたっては、ご自分の意欲がもちろん重要ですが、周囲の協力もとても大切な要素のひとつです。
復職当初は、その日、その日で区切ることができる仕事をこなしていくことが理想です。そして決められた時間で退社する。それは周囲の理解で可能になり、理解が得られれば罪悪感も少なくて済むでしょう。
また、体力低下に加え、判断力や理解力、論理力は、病気により自分が思う以上に低下しています。「この仕事はまだ難しい」と自分の状況を素直に同僚に伝えることができたなら、「今は、まだこの状態なのだ」と自分自身でも受け入れていくことができるはずです。
焦らず、着実に回復していくためには周囲の協力が大切であることを忘れないでいてください。